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私たちはある材木があった時に、これを生かすにはどういった形がふさわしいかを考えてデザインを決めるんです。 | |||||
日本建築においては、建具に要求される施工精度は非常に厳しい。 かつて平安時代の寝殿造りにおいては、出入り口にあたる柱間には観音開きの板戸が設置されていたが、鎌倉時代の主殿作りになると、引違の障子が主流になっていったからである。 |
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建具を取り払えば、大勢でくつろげる開放的な空間は日本の美意識を高める一因となった。 木製建具の場合、木をどのように生かして使うかということに心を砕きながらつくられてきた。 大きさが同じでも、桧と杉では○(木辺に内:ほぞ)の形状が違ってくる。 また、樹種によっては、木の表情も変わってくる。欅は柾目がとりにくいし、ヒバは着色時の色ムラが激しい。 しかし、たくさんの建具に囲まれる住空間にあっては、建具のデザインは大切な意匠となった。 建具組立て後の乾燥による反りや組み手の隙間を避けるため、建具材は完全乾燥が絶対条件である。 含水率も10%以下に落としてから使う。 特に茶室建築の場合、格子の寸法が極端に細くなるため、木の癖をよく見ながら、”木取り”をしていかなければならない。そのときの苦労が、10〜20年後の出来栄えに大きく影響するのだ。 |
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